66: ◆9Vso2A/y6Q[saga]
2018/04/06(金) 18:08:43.98 ID:LZXIfz580
描けた。
描くことが、できた。
どうしてかは分からない。
でも、描くことができた。
部長さんは私の手を握ってくれた。
……想いが、通じたみたいだった。
反対の手の甲で目元を擦ってから、パソコンの明かりに照らされたテーブルの上を見る。
色塗りまで済ませたイラストが三枚。
四枚目は下絵まで。本当なら一発描きになるかもしれないと覚悟していたけれど、全くそんなことはなかった。
一日描かないと二日分の差になるだとか、描いたら描いた分だけ上手くなるだとか、
何にでも言えるようなありふれた言葉はどうだっていいとまで思えてしまった。
だから自分の指針や感覚が狂ってしまっていたとしてもそれはそれでかまわない。
描けている実感がなによりも嬉しかった。
嬉しいだなんて、そんな綺麗な感情を持てるとは思っていなかったから。
一枚一枚を見返してみる。
春の絵、秋の絵、冬の絵。書いていた文が助けになって、頭の中で描いていたイメージを余すことなく表現できている、と思う。
色の重なりも悪くない。部長さんが多くのコピックを持っていてくれて助かった。
手に取り、またテーブルに戻す。
自然と私の腕はペンの方へと向きを変えていた。
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