65: ◆9Vso2A/y6Q[saga]
2018/04/06(金) 18:07:11.07 ID:LZXIfz580
【一進一退】
うたた寝から目が覚めると、うっすらと腿に広がる痺れに気が付いた。
眠りに落ちそうになる前の記憶ははっきりしているから、今あえて確認をしたりはしない。
彼女を起こさないように、ゆっくり肩を引いて痺れていないところへ移動する。
その手で触れたとき、左手に懐かしいような、あるいはまわりまわって新鮮とも呼べるような感覚を覚える。
腱が、微かに痛んでいた。
手を下向かせながら寝てしまったときや、何か多くの文字を書くために利き手を長い時間使っていたときの痛みとは明らかに違っていて、
覚えていないほどずっとずっと昔のこととなんら変わりのない、私が、絵を描く際に手首を使いすぎてしまう悪癖から来るもの。
ペンを握るのはやっぱり怖かった。
けれど、握ってからは今までとは違った。
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