318:名無しNIPPER[saga]
2018/08/19(日) 03:51:54.67 ID:3FrzmiYZ0
「描けないままでいた方が最終的に幸せだったかもしれない、って、ありえなくはないと思う。
それに、時間が経って、元来た道を振り返っても、後ずさりしても、踏み出した一歩は絶対になくならない」
「そんなこと、ないと思いますよ」
「あるよ」
珍しく、強い口調で裏返される。
もう、どこか泣き出してしまいそうな雰囲気だった。
「なにかを想う気持ちは、たぶん幻みたいなものなんだよ」
「……幻、ですか」
うん、と先輩は手のひらを天井に向かってかざす。
ここが外なら、陽の光を避けようとしているような動作だ。
でも、ここは室内で、電気もついていない。
きっと、この言葉だって俺だけに向けられているわけではない。
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