305:名無しNIPPER[saga]
2018/08/19(日) 03:41:56.83 ID:3FrzmiYZ0
やがて、部長さんは塔屋にもたれて、空に向かって小さく息を吐いた。
「……はあ、駄目だよね。こんなんじゃ」
「……」
「シノちゃんにだけは、こういう私、見せたくなかったな」
嘲るようなため息は空に消えていく。
それから、今度は深呼吸のように大きくふうと息を吐く。
「私ね、いまは調子がいいときだと思うの。……いまって言うのは、ここ最近、ってことね。
特にこの一ヶ月は、すごく楽しかった。いままで生きてきて一番じゃないかって思えるくらいに」
「……」
「でも、そういうのって長くは続かないんだよね。私だって、絵の最後を描き上げる時はいつだって怖いよ。
それで、いまはこの文化祭が終わってしまうのが怖い。きっと前の私なら、そんなこと思いもしなかったのにね」
「……はい」
部長さんの言っていることは、なんとなく、わかる気がした。
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