303:名無しNIPPER[saga]
2018/08/19(日) 03:40:37.56 ID:3FrzmiYZ0
一瞬にして、彼女の顔から色が失われた。
そして、画面から目を外して、私のことを──私の目をまっすぐ見て、顔を俯かせた。
その一連の仕草は、どうにか平静を保とうと努めているように見えた。
手を伸ばすと、強く撥ね除けられる。すぐに、しまった、という驚いた顔で私を見る。
どうすればいいのかがわからなくて、もう一度彼女に向けて手を伸ばした。
今度は抵抗されなかった。
おそるおそる髪に触れると、こちらにもたれかかるように身体を倒してくる。
「ごめん」
「どうして謝るんですか」
「……ごめん」
そう言って部長さんは、上半身をすべらせ、私の胸に頭を寄せてくる。
私の顔を見たくなかったのかもしれない。それか、自分の顔を見られたくなかったのかもしれない。
少しのあいだ、私はあやすように彼女の髪を撫で続けた。
空を眺めていても、雲はなかなか流れていってくれない。
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