追われてます!'
1- 20
189:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:36:52.72 ID:CaJ2VfCb0

【文化祭 1ー6】

 水を打ったような静けさの中で、舞台の幕が上がる。

 ナレーションが終わると同時に、奈雨の演じる少女──「わたし」が舞台上にやってくる。
 緊張をほぐすためなのか、もう演技が始まっているのか、奈雨は衣装の胸のリボンを軽く摘まんで息を吐き、客席に向けて儚げに微笑する。

 目を閉じ、開き、左右に首を巡らせる。
 その視線が、一瞬だけこちらに向けられたように思えた。


 物語は「わたし」のモノローグを中心に展開していく。

 陽の射さない部屋。少しばかり広い屋敷の、以前まで使用人が住んでいた一室に「わたし」は居る。
 家族は「わたし」のことを腫れ物のように扱っていた。
 母と父は彼女を壁一枚隔てたような、他人行儀な振る舞い方をし、たった一人の姉は彼女と関わること自体を避けているようだった。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
341Res/257.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice