153:名無しNIPPER[saga]
2018/05/29(火) 01:28:46.93 ID:xutan3/t0
「なに?」
「緊張。少しでも取れたらいいと思って」
「ふふっ……そーかそーか」
奈雨は触れあっている手を軸にして向き直り、俺を見上げる。
んっ、と息を呑む音がしたかと思えば、それからすぐに気を取り直すような吐息が聞こえた。
「あのさ、お兄ちゃん」
「ん?」
「ちょっとだけ、昔の話、してもいい?」
俺は彼女と目を合わせて、首だけで頷きを返した。
「……あのときのこと、ずっと言わなきゃなって、思ってて」
「うん」
「あの頃のわたしは……ううん、ちがう。今でも、少しだけそうなんだけど……」
──人の視線が怖かったんだ、と彼女は途切れ途切れに言う。
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