34: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/02/09(金) 00:04:10.17 ID:Ui02l9zqo
「だから、面接も練習して。……予習だって、質問されそうなことについての回答だって、用意して……私、私は――」
だが、漏れ聞こえて来る呟きは彼女自身の姿じゃない。
あくまでもそれは"優等生"。面接者の役を被ってる別人で。
「こ、琴葉? 大丈夫?」
そうしてしばらく経った後、恵美が心配そうに見守る中、
田中さんはグッと背筋を伸ばして顔を上げた。
「……あの、訊いてもらえますか?」
――今度は、俺が呆気に取られる番だった。
こちらとしてはもう彼女の言葉を聞く気で待っていたワケだからね。
まさかここで断りごとを言われるとは……。
「ええ、どうぞ」
「……ありがとうございます」
でもそれが、弱気な彼女の"らしさ"なのかもしれない。
たった三人だけの観客を前でお辞儀をして……田中琴葉は喋り出した。
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