34: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/02/08(木) 02:08:09.51 ID:1k4n5Mtx0
○
「え、ちょっと。はぁ?」
何が何やらわからないアタシをよそに、男は笑い続ける。
「北条さん、よく聞いて。今の君は絶望的に体力がないだけだ」
「だけって……それが全てでしょ。何一つまともにできないんだから」
「運動、全然してこなかったんだよね?」
「……」
「それは欠陥なんかじゃないし、これからどうとでもできることだ」
「そうは言っても、他の人……一般的な女子高生に比べて劣ってるのは確かでしょ」
「かもね。でも、それだけだ」
「またそれだけって」
「それに、歌唱能力の評価もトレーナーさんに聞いたんだけど」
「そっちだって、まともに練習したことなんてないし、第一体力がないから息が続かなかったし」
「声質がね。すごく綺麗だって。これは北条さんが持ってる北条さんの強み。違う?」
「ちが……わないかもしれないけど、いくら声質が良くても肝心の歌唱力がないんじゃ意味ない」
「後からつければいい。体力だってそうだ」
「でも、周りの人たちよりスタートラインが遙か後方にある事実は変えられないじゃん」
「追いつけばいいし追い越せばいい」
「簡単に言わないでよ。どれだけ時間がかかるか」
「かければいいよ。時間」
「……付き合う、って言いたいわけ。こんな何一つまともにできないアタシに」
「やっと伝わった」
男は再び笑って、そう言った。
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