【モバマス】琥珀色のモラトリアム
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/03(土) 00:22:06.27 ID:vBuyWfgt0
前席からプリントを受け取りながら、教室内を再度一瞥する。閑散とした教室には、見知った顔もいくつか欠けていた。ボクにとっては、それは実に好都合なことだった。
この事務所御用達の中高一貫校で己が孤立しつつあることに気付いたのは、高等部へ上がる頃だったか。それはボクが中三で突然編入して来たアイドルだから、ではなく、アイドルであることに周囲が慣れた時、そこに残るのは唯の"痛い"ボクだったからだ。輪をかけてボクを敵対視して来たのが、今年同じクラスになったとある女子生徒だった。蓋し事務所のアイドル達にも匹敵するかもしれないビジュアルを持っていた彼女は、学校という閉鎖空間におけるヒエラルキーの頂点に属していた。それ故に、ボクと言う存在が気に食わなかったのだろう。他の女子達を扇動し、独りになるように仕向けていった。元々孤独を善しとし、その上事務所という学校の外に既に居場所を手に入れていたボクにはあまり効果が無かったが、校内での途絶したままの友好関係を思えば彼女らの目論見は成功しているとも言えるだろう。或いは、事もなしと振る舞うボクの姿が彼女達の神経を逆撫でしていたのかもしれないが。



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