38:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/03(土) 00:44:16.20 ID:vBuyWfgt0
少し落ち着こう、とプロデューサーに促されるままに、ボクはソファへと戻った。給湯室からは珈琲豆を挽く音が聞こえる。しばらくすると、彼は芳ばしい香りの立つ二人分のマグカップを持ち、ボクの向かい側へと座った。
差し出された珈琲は、一見すると単なるカフェ・オ・レのようで、恐る恐る口に含むと、苦味の中に仄かな甘味が広がるのを感じた。
「……美味しい」
「それはどうも。砂糖の代わりに蜂蜜を少し入れてある。俺が疲れた時にいつも飲んでる飲み方だよ」
「子供扱いしないでくれ、などと言える空気ではなさそうだね」
「ははは、それもそうだ」
ひとときのコーヒーブレイク。
先程までの荒れていた心を、優しい蜂蜜の甘さが包み込んでゆく。彼もまた、この時間を味わっているようだった。
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