速水奏「夢で逢えたら」
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3:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/02(金) 18:16:20.43 ID:tTi/N0cm0


「あら?」

 扉を開けて目に入った光景は、正直以外だった。

 応接用のソファの上、器用な体勢で静かに寝息を立てているのは、誰あろう自分の担当プロデューサーだ。

 部屋の中を見回してみるが、他の人間の気配は無い。

 どうやらあの黄緑の制服のアシスタントも帰っている様だ。

 彼の目の前にはまだ湯気の立っているコーヒー、彼の机の上には書類の束とペンと出しっぱなしの判子と朱肉――差し詰め、残業の詰めの前に一息入れるつもりが睡魔の強襲に遭った、と言う所だろうか。

「まったく……」

 確か今日は昼からフレデリカに付きっきりだった筈だ。その後夕方から美嘉と志希の送迎もこなしたと聞いている。

 そこから更に書類仕事を片付けようとして……一体いつ休息を取ったのだろうか。

 この人の事だ、たぶんこんな事が今日初めてではあるまい。日頃は「健康な生活もお仕事のうち」などと挨拶の様に言っている癖に――。

「ふふっ」

 何と言うか、似た者同士なのだろう。

 この人だってジェットコースターの運転で疲れる事だってあるのだ。



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