【モバマス】 塩見周子「なか卯には人生がある」
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2018/01/28(日) 03:12:51.18 ID:nBRbhFMNO
周子「くっ……! ぷぷ……!」
周子(そんなことを真剣に言うものだから、うちの職人さんまでも表に出てきちゃって一大事だよね)
周子(数秒間父は固まったままだった……。だけど、ようやく我に返って『お引き取り下さい』と言った)
周子(プロデューサーさんは何故かそれをすんなり受け入れて、サッと帰って行った……)
周子(ところが……。次の日もその次の日もプロデューサーさんはお店に顔を出した。律儀に毎回生八つ橋を買ってまで……)
周子(冷やかしならともかく、毎回商品を買ってもらっている手前上、強引に帰すわけにもいかず……。しかし、父はとうとう『もう来ないでくれ』と声を張り上げた)
周子(あたしは何もできずにいた……。あたし自身のことなのに)
周子(対するプロデューサーさんは、なおも熱心に説得を続けた)
お父さん、これだけは言わせてください。私は、必ず周子さんを一人前のアイドルに育て上げてみせます。
私は会場を後にする彼女に対して、このように問いかけました――最後に、何か言っておきたいことはありますかと。
そしたら、彼女はこう答えました――あたしは、アイドルをなめていました。
みんな死に物狂いでアイドルを目指しているのに、あたしにその気持ちはあったのかと聞かれたら、あたしは胸を張って「はい」と答えられる自信がありません……。あたしの中で、アイドルは憧れのままだったんです。でも、あたしはアイドルが大好きです……! 今まで夢を見させて頂き、本当にありがとうございました……。
彼女はそう言いました。確かに他の人間からすれば、その発言は顰蹙を買うようなものだったかもしれない……。しかし、この世界は一瞬の輝きが必要とされる世界です。彼女のパフォーマンスにはそれがあった……!
私は見えてしまったんです――彼女が衣装を着てステージで輝く姿が。ティンと来たんです。感じたんです。
周子(そうやってプロデューサーさんは、なおも力説を続けた)
恐らく、彼女はあの一瞬に全てを賭けていたんでしょう……。それは他の人間も同じだったかもしれない。
だけど、彼女のパフォーマンスはあの会場で一番輝いていました。「アイドルをなめていた」という言葉は嘘です……。いや、以前までの彼女ならそうだったかもしれません。しかし厳しい世界を知ってなお、彼女はそこへ挑もうとあの一瞬に命を賭けていました。
お父さん、改めてお願いします――私は確かに若造のぺーぺーですが、曲がりなりにもプロデューサーです。私は彼女を一人前のアイドルに育て上げてみせます……! どうか、よろしくお願いします……!
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