【モバマス】 塩見周子「なか卯には人生がある」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/01/28(日) 03:06:32.22 ID:nBRbhFMNO


 お前が本気でうちで働くと言うなら、俺はそうさせた! だけど今のお前は何だ!?

 養成所だかなんだか知らないが、やりたいことがあると言ってあっちへ行っておきながら、今度はたった3年で駄目だったからうちで働かせて下さいだぁ!?

 甘えるな! 半端者がやっていけるほどうちの店は甘くない! 俺だって何年も下積みしてようやく店を任されたんだ! ここまで来るのに何年かかったと思う!? 

 俺は、お前には夢を追って欲しかった! 好きな生き方をして欲しかった! だからそんなことを言って欲しくなかった! そんな中途半端なままでは、うちで働かせることはできない!




周子(という言葉を京都弁でまくし立て、父は涙ながらにあたしを怒鳴りつけた。泣きたいのはあたしだ)


周子(そう、全てが図星だった。それが悔しくて情けなくて申し訳なくて……。泣きたかった)


周子(父は、松原橋でのあたしの言葉をずっと信じてくれていたのだ)


周子(――菓子屋でありながら、菓子屋の人生は決して甘くない)


周子「……」


周子「――すみません、コーヒーもう一杯お願いします」


店員「かしこまりました」


周子(絶対トイレ近くなる……)


周子(――そう、自分が駄目な理由なんて全部分かっていた。分かっていたのに、どうすることもできなかった)


店員「お待たせしました」


周子「ありがとうございます」


周子「……」


周子(それからはもう、やけになっていた……。ピアスを開けたり、遊び歩いたり……。だけど未練があったのか、レッスンだけは毎回参加していた……)


周子(そして、こうも思った――どうせなれないんだったら、一層のこと好きにやってやろうと)


周子(そうして、進級試験がやって来る)


周子(あたしは一番上のクラスだったから、それより上のクラスはない。在籍年数の規定があって、それまでに所属できなければ『さよなら』というわけだ。あたしの場合試験が駄目でも、在籍年数に余裕があったので留年することはできた。だけど、そんな気分ではなかった。だから、せめて最後くらい華々しく散ってやろうと思ったんだ)


周子(――けれど結果は駄目だった。一次審査突破の知らせをずっと待っていたけれど、とうとう来ることはなかった)


周子(あの時はもう、全てが終わったと思ったな……)






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