【モバマス】 塩見周子「なか卯には人生がある」
1- 20
10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/01/28(日) 03:03:06.99 ID:nBRbhFMNO


周子(そうして、一つの節目を迎えた――高校三年生の時)


周子(あたしはもう、半ば諦めかけていた……。そんな時、父から改めて進路について聞かれた)


周子(厳しい現実を叩き付けられた甘々のあたしは、確かこう答えたと思う――どうせアイドルなんかなれないんだし、養成所は辞めて、それで卒業後はうちで気ままに働こうかな)


周子(そう、自暴自棄だった)


周子(そんな自暴自棄のあたしに、父は一発喝を入れた――物理的な意味でも)


周子(そして父は『お前にはうちの店を継がせることはないし、働かせることもない』とキッパリ言い放った。勘当に近い物言いだった)


周子(後継ぎ候補ならうちの従業員がいるし、店員も間に合ってる。その為に俺が彼らを育ててきた――そう付け加えた)


周子(そういうわけで、あたしに残された選択肢は二つ……。進学するか、それとも実家以外で就職するか)


周子(進学するならお金も出すし、仕送りもしてやる。うちの店以外で就職するっていうなら家にいてもいい。だけどうちで働くと言うなら、お前には働かせないし、家を出てってもらう)


周子(そういう究極の選択を強いられた)


周子(あたしは反抗した……。理不尽に殴られて、それで強引に条件を決められるなんて心外だと思ったから)


周子(そしたら父の怒りボルテージは臨界点突破。あたしは父を憎んだけど、それと同時に情けない自分を呪った)


周子(父が怒ってくれた理由も、何もかも全部分かっていたのだ)


周子(あたしは伝統に縛られるのが嫌だった。『あそこの店の娘さん』という、そういう『いい娘を演じなくてはいけないあたし』になるのは死んでもごめんだった。うちの店は好きだけど、だから手伝いもしたけど、そういう存在にはなりたくなかったんだ)


周子(だからあたしは、アイドルという自由の象徴を望んだ)


周子(――なのに、あたしは一方でうちの店を保険にかけたのだ)


周子(死んでもごめんと言っておきながら、『和菓子屋で看板娘として働くあたし』というステータスも望んでいた)


周子(アイドルになれなかったら、路頭に迷ったら実家で働けばいい。実家という最終手段がある――そんな甘えがあった。全てが中途半端だった)


周子(父はそんなあたしの性格を、幼い頃から見抜いていたのかもしれない。だから怪訝な表情を浮かべながらも『こいつには好きな生き方をさせてやろう』と、養成所に入所することを許してくれたのかもしれない)






<<前のレス[*]次のレス[#]>>
67Res/89.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice