9:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:16:13.18 ID:3iKMEwHU0
「お、電源わかった?」
奈緒さんがペットボトルの水を飲みながら、向かいに潜り込む。顔色は大分良くなっていた。
さっむいなぁ、と言いながら、中で私の足にぶつかってくる。
余裕が出てきた証拠だろう。無視して足を引っ込める。
蹴り合いになって気持ち悪さがぶり返し、ここで吐かれたら悲劇だ。
「なんや、つまらん。昔みたいに冷めとるなぁ。酒飲んどった時は元気やったのに」
「覚えてない、って言ってませんでしたっけ」
「途中はあんま覚えとらんけど、なんや志保テンション高いな、お酒好きなんか、と思った記憶はあるよ。……一緒に飲んだんは初めてやもんなぁ」
奈緒さんは髪の毛を適当にゴムでまとめていた。
それだけで私の知る奈緒さんに近づいた気もする。
今日街で偶然出会った時、髪を下ろした彼女が一瞬誰かわからなかったので、不思議な感じだ。
もっとも、私もあの頃に比べたらずいぶんと髪を短くしている。最初はそれで散々からかわれたので、お互い様といったところだろう。
「……これ、まだ使ってるんですね」
そっと天板へ指で触れる。奈緒さんはふっとため息をついた。どこか遠い場所をみつめる。
「そら、エミリーにもらった思い出の品やからな。……ここに置いておかんと、帰る場所がみつけられんやろ」
そうですね、と適当に呟き、ん、と首を捻る。
「いやいや、死んでないでしょう、テレビでよくみるじゃないですか。
っていうか例え死んでも絶対にここには帰ってこないですから。普通に自分の家に帰ります」
奈緒さんが満足そうな様子で、けらけらと笑う。
「わはは、まだバラエティもいけそやんか。すましとらんと番宣とかで大暴れしてくれや、大女優ゥ!」
久しくなかった振りだけど、つい反応してしまった。迂闊だった。
「……女優はイメージが重要なので。芸人さんと同じようにはできないんです」
嫌味を返しておく。
誰が芸人や、と言われたけれど、多分、世間の認識もタレントよりそっちだと思う。
45Res/48.39 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20