奈緒「志保、コタツはいつでも出せるんやで」
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6:名無しNIPPER[saga]
2018/01/18(木) 21:14:14.57 ID:3iKMEwHU0
「あの頃は楽しかったなぁ」

 懐かしむように奈緒さんが言う。
 ぼんやりとした言葉は、きっと私と同じように昔を思い返しているんだろう。

「……さっきも楽しそうでしたけどね。出禁寸前でしたけど」
「マジか、なんも覚えてないねんけど。私、あそこ贔屓にしとんのに……うぅ、笑いものにされる……」

 既にされていた、とは言えない。
 奈緒ちゃんがこんな風に酔うのはじめてみたよ、なんて店長さんが楽しげに笑っていた。
 釘を刺す良い機会だろう。

「あの頃の奈緒さんは、まさか10年後に自分がげーげー吐きながら思い返されるとは夢にも思ってないでしょうね」

 奈緒さんは唇を尖らせ、その口角がにやりとあがる。いやな予感がした。

「まーたそうやって意地悪いうー。めそめそないとった志保の背中を撫でてやったのは誰やと思ってんねん」

 ……なるほど。それはすっかり抜け落ちていた。
 背中の方にいられるとみえないし。

 水を汲んできます、と立ち上がる。
 志保が吐いたときは私が背中なでたるからなー、と後ろから声がした。
 苦笑する。それは、歓迎できかねる未来だ。


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