1: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:39:55.33 ID:rvz5aNSu0
みんな、夢を持って生まれてくる。
誰だって。
そして、いつのまにか、諦めている。
才能がない。お金がない。時間がない。環境がない。理解がない。
私たちが夢を叶えるには、この世界は足りないものばっかりだ。
それでも、夢を叶える人がいる。
そんな人たちの話は、それを語る眼差しは、私には眩しすぎて。
自分に足りないものを呪いながら、今日も微睡みの中へ意識を落とす。
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2: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:40:36.01 ID:rvz5aNSu0
〜〜〜〜〜
「……」
3: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:41:03.63 ID:rvz5aNSu0
その建物の前を通ったのは、本当に偶然だった。
休日だったからアクセサリーでも作ろうかなって思ったんだけど、材料が切れちゃってて。
そういえば、いつも行ってる雑貨屋さんは改装中とかなにかでお休みしてるんだっけ。と気が付いたから、いつもは降りない駅で降りたんだ。
4: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:41:31.87 ID:rvz5aNSu0
行きにも通ったはずだけど、気が付かなかったな。まあ、お店を探すのに集中してたからだと思う。
いつもだったらこんなポスター、気にも留めないはずだった。だったんだけど。
そこに写っている女の子に、その笑顔に、私は見惚れてしまった。
どれくらいの間、見ていたんだろう。ほんの一瞬だけかもしれないし、何十分も目を奪われていたのかもしれない。
5: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:42:29.24 ID:rvz5aNSu0
そこでふと、冷静になってみた。
アイドル事務所の前で、熱心にアイドル募集のポスターを見ている私……
……あれ?
こ、これじゃまるでアイドルになりたいみたいじゃない!
6: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:44:44.13 ID:rvz5aNSu0
怪しい人だなって、思ったんだ。正直に言っちゃうと。
「わっ、び、びっくりした……」
7: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:45:13.71 ID:rvz5aNSu0
「ま、まあ……その……いいなって思った、けど。私にはなれないし……」
「なれない? ……どうして?」
8: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:45:40.74 ID:rvz5aNSu0
その中央には、名前が書かれている。当たり前だよね、名刺なんだから。
それよりも見なきゃいけなかったのは、名前の隣に、一回り小さく書かれた肩書きだった。
「プロデュ……えっ、うそ……アンタ……ここの事務所のプロデューサーなの?」
9: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:46:09.34 ID:rvz5aNSu0
そのまま、ポスターの笑顔を捉えたまま、口を開く。
「私も……こんな風に笑えるかな?」
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