8: ◆5AkoLefT7E[saga]
2018/01/12(金) 23:45:40.74 ID:rvz5aNSu0
その中央には、名前が書かれている。当たり前だよね、名刺なんだから。
それよりも見なきゃいけなかったのは、名前の隣に、一回り小さく書かれた肩書きだった。
「プロデュ……えっ、うそ……アンタ……ここの事務所のプロデューサーなの?」
「どうだ? アイドルになってみないか?」
真っすぐに、その目は私を見ている。突然の出来事、その申し出に、私の頭は混乱してばかりだ。
耐えかねて思わず目を逸らした先ではまだ、ポスターの女の子が笑っていた。
何回見ても、どれだけ見ても素敵な笑顔だ。
もし私にも、こんな表情ができたら。
こうやって、誰かの目を奪うことができるような。……ううん、せめて、誰かに、いつか
『素敵な笑顔だね』
って、言って貰えるようになれたなら。
それは、夢。
とっくの昔に諦めたはずの。それでも諦めきれていなかった。夢。
この人は
……叶えてくれるのかな。
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