8:名無しNIPPER[saga]
2018/01/12(金) 23:28:55.67 ID:QHT5/WDno
千景「──さて」
友奈(私が心を決めたのと同じ頃、不思議と通るぐんちゃんの一声が皆の視線の集めていた)
千景「それぞれの想いがあり、世界を守るか壊すかの二論があることは全員理解出来ているのでしょう? なら、勇者部らしく話し合いをして結論を出すことがあなたたちのそれこそらしさだと私は思うわ。悩んだら相談、五箇条に掲げている以上その言葉を否定するような無粋な人は居ないことでしょうし……」
友奈(最後の言葉はあえて言ったのだと、ここに居る皆は多分理解している。でも、ぐんちゃんがこうして話している理由を誰も理解できていないと思う。私もそうだった)
千景「話し合いの時間制限としてはおそらく十分ともう少々……その程度しか与えてあげられないことだけは申し訳なく思うから謝っておくわ」
風「千景……? あんた何を言って……?」
友奈(風先輩の疑問には答えず、ぐんちゃんは話を続けていく)
千景「この世界の大人はバーテックスとの戦いに勇者と言う名の子供を使っている。大人は勇者になれないと言う理屈はあるのでしょうが、私が過ごしたこの一ヶ月でさえ分かってしまうことは多々あるのよ。代表的なものを挙げれば、全てのやり取りをメール一つで済ますと言う悪癖。聞こえの良い言葉を使うのであれば、勇者部に全てを一任しているのでしょう」
夏凜「……千景……?」
友奈(言葉は冷静なのに、ぐんちゃんは怒っているんだと私は思った)
千景「つまり、この世界の運命は大人ではなく子供の手に全てが委ねられていると言っても過言ではないわ。……正直そこにも色々思うところはあるのだけれど、私見はこの際置いておきましょう。──委ねられているのだから、ここから先の未来を決める権利はあなたたち勇者にあるのよ。犠牲を払って戦い続ける勇者部にその権利がないとは絶対に言わせない。今更大赦ごときに口は挟ませないわ」
樹「……」コクン
友奈(もしかしたら樹ちゃんはぐんちゃんの言いたいことを理解していたのかもしれない。ぐんちゃんの言葉に頷いていたのは樹ちゃんだけだった)
千景「……樹さん、あなたは本当に強いわね。勇者部の中で誰よりも成長して、勇者部で育んできたものを強さとした。私はそれをとても尊いことだと思うわ。……どうか、その心の強さを皆の出すであろう結論の手助けとしてあげて。きっとどちらの結論になったとしても傷つく人は生まれてしまうはずだから」
友奈「……」
友奈(私はまだぐんちゃんの言おうとしていることを半分も理解できていないだろう。だけど、私はぐんちゃんを信じていて、ぐんちゃんはこんなにも何もできていない私を今も支え続けてくれている。だから、私が訊ねることはたった一つ、これだけだ)
友奈「ねぇ、ぐんちゃん。何かを、行う気なんだよね?」
千景「……」
友奈(ぐんちゃんは答えてくれなかったけど、それが答えだった。なら、私はぐんちゃんの手助けをして、その上で私の決意を果たすことにした)
千景「……中学生くらいの大人になりきれていない子供に、世界の命運を託すなんて頭がどうかしていると思うし、今こうして結論を出さなければならないあなたたちは本当に良い迷惑でしょう。そして同時に、酷い役回りだとも思うわ」
千景「それでも、ここに居るのは勇者部のメンバーだけしかいないのよ。無責任を押し付けられた立場であっても、結論を下す重圧が如何に過酷であったとしても、最早あなたたちが決めるしかない状況よ。……世界を壊すか、それとも守るか、どちらの結論になろうとも、あなたたちが出した答えであれば……私は全て受け入れるし、それが正当な私の立場とも言えるわ」
95Res/132.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20