608: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/12(月) 15:32:35.12 ID:zhSyHYbEO
【数時間前 クィーンズベル 郊外】
ベビードラゴン「い、いきなり要求なんかしちゃ機嫌悪くなっちまうんじゃないだべか?」
勇者「ばかたれ。どうせ最初から機嫌は悪いんだから気にしなくていいんだよ。いっそのこと開きなおれ」
ベビードラゴン「そ、そうはいっでも」
勇者「ご機嫌とりなんかしなくていいんだ。求めるものは怒られる度合いを減らすことじゃなく要求を通すことだろ?」
ベビードラゴン「でも、機嫌が良い方が。お願い通りやすくなっぺよ」
勇者「だから腕を持って帰る。これは色々な用途の効くエサだ」
ベビードラゴン「ほんとに信じて大丈夫だべか」
勇者「頭が良くて慎重なやつほど、用心深く観察してくる。そういうやつは騙しにくいと、そう思うか?」
ベビードラゴン「……よぐ、わがんねぇげと」
勇者「実際は真逆だ。そういうやつほど胡散臭いことにハマりやすいし騙されやすい。なぜなら、頭がいいからな」
ベビードラゴン「?」
勇者「インテリってのはなぁ、極端だが、なぁーんにも意味がないことを意味があるんじゃないかと考える」
ベビードラゴン「魔王様も、そうなんか?」
勇者「わからん」キッパリ
ベビードラゴン「……」
勇者「そうであってほしいという博打はぶっちゃけてある。今回は、そこに俺の腕と、お前の命と、竜王の命までワンセットで賭ける」
ベビードラゴン「えぇ……」
勇者「無理難題を通すにはある程度の無茶も必要だってことだ。なにしろ、時間がない。最低限の準備が済んだだけ。“騙せる下地”を作っているにすぎん」
ベビードラゴン「う、うぅん」
勇者「お前が独力で剣を奪い、腕をかみちがってきたと騙せるかどうかは、でたとこ勝負ってとこだな」
ベビードラゴン「無理なような気がしてきた」
勇者「やれないとはないはずだ。ご機嫌とりとかあれもこれも欲張るな。ただ、俺を倒した。この一点を信じさせることだけできればいい」
ベビードラゴン「う、うん」
勇者「実力で劣るはずのお前がなぜ俺を倒せたか、理由は俺のやる気のなさだと答えろ」
ベビードラゴン「やる気?」
勇者「そうだ。俺は勇者をやめたがってると言ってたと魔王に伝えるんだ」
ベビードラゴン「わがっだ。そんで?」
勇者「そうすると用心深いやつは罠か? とまず考える。しかぁ〜し、ここでも腕の存在が頭をよぎる。罠で腕を差し出すまでするか? と」
ベビードラゴン「うん、それはたしかに。オラもそう思う」
勇者「お前はマヌケだから、そこまでするはずがないで終わりだろ。ミスリードの原理だ」
ベビードラゴン「……?」
勇者「“真実の中に嘘を混ぜる”。誤った道しるべに魔王をハメる……くっくっくっ、なぁーはっはっはっ!」
ベビードラゴン「(なんがごいづ、悪役みてぇだな)」
勇者「お前を俺の舌の上でぺろぺろ転がしてやんよぉ〜! チュッパチャプスみたいによぉ〜!」
ベビードラゴン「表現が汚ねぇ」
勇者「ひゃっはっはっ! 間接的に勇者vs魔王のはじまりだぁッ!!」
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