勇者「ニートになりたい」
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505: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/02/05(月) 13:16:30.55 ID:fQ/B2oVuO
【クィーンズベル 郊外】

ガンダタ「むう……」ムクッ

勇者「おはよう」

ガンダタ「んだぁ、おりゃあ、寝てたのか」

勇者「ヘンテコな覆面野郎に負けたっしょ。あれ、俺なんだけどね」

ガンダタ「……」

勇者「驚かないの?」

ガンダタ「どーでもいいんだよ。んなこた」

勇者「これから、どうする?」

ガンダタ「おめぇを殺りそこなったのはたしかだ。また殺りあうか」

勇者「それしかできないのならいいよ。けど……さぁ。強さってそこまで重要かなぁ?」

ガンダタ「あぁ?」

勇者「人生の先輩として教えてくれよ。わからねーんだよ、俺。魔物がいる世界で、人間が強さを追い求める理由があるのはわかる。強ければえらい、かっこいい、だからって、そうならなくても」

ガンダタ「……ふん」

勇者「強さなんてそいつの人間性になんの関係があるんだよ?」

ガンダタ「力だからだろ」

勇者「……」

ガンダタ「金、腕力、権力、地位、名誉。どれかひとつが突出してりゃ、それはチカラだ。いつの世も、チカラあるものが正義なんだよ」

勇者「善じゃなくてもか? チカラさえあれば――」

ガンダタ「力なき善に正義はない。良い志を抱えたとしても、実現できなけりゃ、無力だ。……わかるか? 無力って言葉の意味が」

勇者「……」

ガンダタ「無知、無力、能無し。“無”に共通することといやぁ、ただのゼロよ」

勇者「そうか、そうだな」

ガンダタ「おめぇはおめぇでこじらせてるみてぇだな、くっくっ」

勇者「……認めたく、ないんだ」

ガンダタ「なにをだ」

勇者「みんながっ、俺を勇者として、見る視線にっ! 化け物として扱う視線……擦り寄ろうとする視線……誰も、俺を見ちゃいない」

ガンダタ「だったらなんだってんだ? あァ?」

勇者「……」

ガンダタ「そんな雑魚どもはどうやったって寄ってくる。無視しときゃいいだけの話だろ」

勇者「……そうだな」

ガンダタ「ふん、知ったことか」

勇者「よかったら、俺と一緒に旅しないか? 中途半端にした責任もあるし」

ガンダタ「アホぬかせ。俺はおめぇを殺す。それを目的としてしばらくは生きていく」

勇者「……そ、そうか」シュン

ガンダタ「さては心許せる相手がいなくてさみしいんだなぁ?」

勇者「へ、へへっ、そんなんじゃあーりません!」

ガンダタ「ひとつ、忠告しておいてやる」


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