六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
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7: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 22:48:38.02 ID:6rZ5mY140
突如顔に火を灯した樟葉は、許してねって控えめに手を合わせて祈りのポーズしたあと、手を振って違うから私じゃなくて偶然が悪かったんだよーと焦りのガードを張る。
そんなことさせるか!ホルホルしてやる!
勇太「クラスと順調なんて良いな。土日も勉強がしたいとかお兄ちゃん感激するぞ。そんなに学校が好きなら布団を学校に持っていけばいいと思うぞ!」
心に槍がささったのか、そこまで言うことないでしょ!と、むっ!と樟葉は幼稚園児のようにほっぺを膨らまして、私怒ってるんだからね!と示す。
樟葉「ふんっお兄ちゃん知らない!」
そう言い、その小柄な体の小さな足をどん!どん!言わせてリビングから退場し俺を一瞥した後、やっぱり怒った顔になって扉を強く閉める。俺のお母さんが「えーなになに喧嘩?それとも三角関係のアレ?」と、ニヤニヤしながら喋ってくる。それは決して親が言ってはならない第一位のセリフだぞ。帰ってくれ!ブラックジョークこの親にしてこの俺あり。
と、言ってる場合じゃない!急いで完食し、香水を全身および口内に行き渡らせムードを壊さないよう慎重に準備する。

全ての準備が整った後玄関に赴き、きっと一週間前から期待してて、今日のこの日をずっと待っていたんだろうなさあパレードの幕開けだ、おまたせと扉を開ける。
六花は間違いなくいた。六花は確かに笑った。
そして六花は間違いなく歩ける量ではないパンパンのバッグを持って押しつぶされていた。
六花「おはよウォータードラゴン……」
お前夜逃げでもするのかよ!笑顔が苦笑いになってるぞ!
ゴスロリ衣装もこれでは台無しである。ゴスロリ衣装って懐かしいな。俺が初めて六花の家にスマブラとか美味しかった暗黒ケーキを食べたとかの本格的に招待されたとき以来だなそのゴスロリ衣装。そうじゃなくて。
勇太「何で持ってきたんだ!?こんなに!」
六花「いや、デートするからって色々準備してたらいつの間にか」
勇太「あり得ねえぞ!なんでそうなる!」
すぐさま六花のバッグをつかみ取って下ろし、六花のああっという悲しい悲鳴を無視してジッパーを開ける。
こいつ片づけられないタイプの人間かよ。ああ、貴重な時間が、デートが。
中身を見ると、傘が出てきた。
六花「それはダメ。シュバルツゼクスプロトタイプマークツー。末長い相棒。今日は初心に回帰して初代大統領を持っていきたい」
あるか!アメリカ大統領がお前の家にいるのかよ!初号機じゃないのか。でも、マークツーだからー。ん?と六花の方を見ているとキラキラ瞳を輝かせている。
勇太「分かった!分かった!雨になるかもだし、よしとしよう」
歓声を横目に、手を戻すと次はなんだこれ?
六花「ロープ。これは現実世界がエマージェンシーモードにおいて、例えば闇の組織にライフルで狙われたとき自転車を盾に脱出し橋の下に落下すると同時に咄嗟に柱に絡める生命の維持に欠かせない大事な補助アイテム!これは持っていても損はないだろうと確約したい!」
よくそんなことすらすら言えるな。ある意味尊敬する。
ということはさ、実は俺、信用されてないんじゃないのかな。六花が自衛する心がけは良いんだけどさ、彼女を守る彼氏の俺の役割がなくって、じゃあ俺なんかいらないよねって落ち込む。肩が凝るな。信用されてないんだ。自転車の運転とかも何もかも。丹生谷に将来のこと考えていなかったの薄々にも気づかれていたのか。でも、そんなことを表に出して六花を悲しませたくない。ニコニコ笑顔でいいぞって言って、軽く喜んでいる。
勇太「じゃあ……次。これは……」
どうせ信用されてないんだ。
六花「天空に舞い降りし地上を制圧するためのパラシュート。これでいかなる組織の攻撃にも対抗できる!!!
ぴゅうううううううううバーンドドドドド!!」
俺は突如立ち上がり渾身のぐりぐり攻撃を浴びせ、あ〜んゆうたー!と泣き叫ぶこの甘えびを粛正すべく「いらないだろ!」と喝を入れる。
うえええん、と泣いて無駄だ!信用どころか何も考えてないじゃないか!そっちの方が心配だよ!気を取り直して元に戻る。
勇太「これは?」
六花「ミニ大仏。窮地に陥ったら救済信仰する。主に宿題が提出に間に合わないとき使用する」
勇太「これは?」
六花「ぬいぐるみのおさるさん。泣きたくなるときがあるかもしれない」
勇太「これは?」
六花「本のカントの純粋理性批判。持ってるとかっこいい!人を殴れる!!」
俺はバッグをひっくり返して、せっかく詰めたのにと言葉に冷たく対応し、ゴミとゴミに分別する。
勇太「いらない!いらない!いらない!いらない!」
六花「ああああああ!!!!!」
六花の荒ぶる手を静止しつつ、最低限必要なものをジャッジメントする。
綺麗にまとまったバッグはすっかり身のこなしができ、俺でさえもうっとりする出来栄えになる。
勇太「ほらよっ」
六花「本当にいるもの?嘘じゃないよね!」
もう何にもコメントする気がなくなった。
六花「かるーい!」
小鳥遊六花さんは、高校二年ちぇいでありながら、軽くしてもらったバッグを背に持ってお尻フリフリダンスをしている。もういやだ。


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