54: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:20:04.60 ID:6rZ5mY140
嫌だ。嫌だ。認められない。
体が拒否反応を示す。
知りたくなかった……!
認めたくない……。
守るべきものはない。俺には心から守る存在が一人もいない!
俺はあの六花が好きだったから。六花……邪王心眼……。
俺も悪くない。六花も悪くない。じゃあ誰が悪いんだ。
いったいこのレールを作ったのは誰が原因なんだ!?
このレールを作ったのは、お前たち、町の人間じゃないか。
クラスメイトで中二病だー!叫ぶけど何が悪いんだ?ないけどさ、もし六花が死んでも指摘してそれでもけらけらと笑うつもりか!!愛し合って支えて生きていくのが一番平和で、俺たちの夢見る町、世界の在り方だと思ったのに!!お前らは本当に人間なのか!?人間の血は通っているのか!!悪魔の間違いじゃないのか!!!
そうだ。
六花は死んだんじゃない。
六花は殺されたんだ。
周りの人に。
そうだ、思い出した……。高学年になって趣味が俺とずれていって、誰も構わず一人ぼっち生きていく寂しい世界。それに続きがあった、それだけじゃなかった。俺は友達というグループが嫌いになった。一緒に居るのは楽しかったけど、必ずいじり、いじられ役が存在してて、そのいじり役がへらへらと笑って、バカだとか死ねとか、気軽に言ってくるんだよ。いじられ役も調子に乗って何も言わず平気なふりして、殴られても必ず言葉を発しなかった。異様な空間だった。寒気がした。だから俺はそういう友達から自ら浮きたいって思えるようになった。今のメンバーじゃそういうこともなくなってすっかり忘れてた。
お前たち人間の常識は狂っている。
俺だけにしか分からない。
例え立場があってもやっていいことと行けないことの違いが分からない。
こいつらに愛を感じない。
全員滅ぼすべきだ。
いやだ。でもみんな好きだ。でも、みんな死ね。でも、好きだ。
でも、
でも……
頭がおかしい。
助けてくれ!
俺はどうしたらいい!!
六花を失った今、俺は何をするために生きればいいんだ!!
会いたいよう……会いたいよう……。
星に願っても、あれは、ただの、光だ……。
この世界は、
終わってしまったんだ。
勇太「あ」
気が付いたら別の世界に行っていた。俺はさっきまであそこにいたのに、白い世界、まるで天国のような、草木と花が無限に広がった場所に今俺はいる。
理屈不明な場所にいる。風の感覚が分からない。
ここは俺の呼んだ世界。ありもしない無力が創り出した世界。
今の俺は狂人だって知っているよ。
ゆうたという声に急いで振り返って見ると、この六花は六花の形をしていた、違う誰かだった。真っ黒だった。墨を全身で塗られたような、本来生きてはならないはずの構造を持つ生物が俺に声をかける。輪郭が黒く塗られていてそのほかは真っ白だ。
その真っ黒い六花は俺に両手を差し出す。求められているようで操られたように手を出した。六花は笑ったように思える。でも分からない。固く握ると温度を感じず、六花は回る。俺もダンスをするように回る。花畑の中で、ずっと、ずっと、代替の六花を噛みしめるように回る。楽しい。嬉しい。六花がそばにいる。この六花は自信満々だから俺の真の心を知っていると思う。その六花だと思う。来てよかった……。ああ、嬉しいよ。目の前が回転する。画面を構成する光の速さががずれていく。忘れられる楽園。同じ景色が同じように回転していく。このまま時を忘れて死にたい……。
でも、あの六花はどうなるんだろう。
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