六花「勇太をなんとしてでも独占したい!」
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42: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:12:33.64 ID:6rZ5mY140
勇太「えっ……?」

予想外だった。愛し合う二人だったら、その質問といえば将来のこと、数学の問題のできなさから大学入試に受からないこと。大人になってからどうするかということ。そういう類のことならとっくに準備はできていた。六花は突き詰めれば今日の不審もこの根幹から来ているのだ、と全く正解だと言ったら胃がもやもやしていたが、とにかく回答をする予定だった。俺達で支え合って例えきつくても乗り越えて物語を築いていこう。きれいごとでしか解決できないけどそうするしかないって思ってた。理想の崩れた今、理解不能な現象に拍子を抜かれている。
でも、死ぬってなんだよ。しかも俺が。

勇太「死ぬって、俺生きてるぞ。ほらっ」

六花「ううん。ゆうたはいつか死ぬの……?」

なぜそこまで。あっ、「死ぬ」といえば……なにかがふわっと、例の夕方を思い出す。そう機械に潰されたあのバッタの死骸のことだ。無残にもすりつぶされて幸福な最期を送れないと目の当たりで分かった、かわいそうなバッタだった。
夕方の質問の続きか……。要するにバッタは死んでいますか、死んでいませんか。それだけの話だ。でもだからなんで俺が含まれてんだよ。……。何かがひも解くような変な感じがする。

勇太「六花。
落ち着いて聞いてほしいんだけどな、
夕方の話、
はぁ…….すぅ。
バッタは死んだ。
もう生き返らない」

六花「うん、
そうなんだ。
やっぱりそうなんだ。
でもゆうたなら……
そう思ったけど……
うっ……!」
その言葉を聞いた六花は言葉を失ったかのように口を開けて、手で頭を塞いだ。

勇太「六花!?」
助けたい衝動で体が動き出す。しかし後ろ足が震えの痙攣で動きを縛る。
六花「それじゃ……もう私は……」
どうすればいい。どうすればいい。なんて励ましてあげればいい。落ち着いて考えろ。
六花は回答を求している。バッタの件と、俺の件……。そして「死」。何かが結びついて分からないような。でもこんな俺じゃ六花の期待に応えてあげるの無理なのかな。そう思うと自分が小さくなって極小まで潰されていく妄想が走る。未来の俺がどんどん潰されていく。まるでバッタみたいに……。
あ!!
勇太「バッタの件!」
衝動的に質問し、六花をびっくりさせてしまった。再び冷静になり時間を置く。
もしかして六花は、「俺が死ぬ」ということを恐れているんじゃないか。六花のお父さんはもう他界していない。その時の恐怖が再度出たのかもしれない。確かに俺も怖いもんな。大好きな人が消える悲しさ。
再び深呼吸。割れやすい花瓶を慎重に持つように。
勇太「もしや俺の死が嫌なのか」
六花は途端に目を大きくし、静かな空間に明るさを灯した。
勇太「やっぱりそうなんだな!」
六花「うん」
ああ!突破口が見えてきた!
六花が微笑んでいる。六花の気持ちと少し合った気がする!
六花「バッタとゆうた、いつか、死ぬ?」
喋った!喋った!これで解決の道が開いている!!仕組みさえわかると極めて簡単だった。誰もいない夜中に俺も何回もベットの中で考えて、それもデートを始めたときから全て、六花の顔を思い浮かべるたびに感じる「彼女は今いない」寂しさを、心の手合わせから離れていく寂しさを、言ったらはっとして喜ぶだろうなという未来予想を含めてぶつけてみる。
勇太「ああ!そうだよ。生きる者いつかは死ぬ。バッタさんみたいにな。俺だって死ぬよ将来。じゃないとおかしいだろ?」
六花「……」
勇太「だからさ、生きる時間は限られてる。俺と六花のこうやって過ごす時間も限られてる。だからさ、その時が来るまで一緒に遊ぼう?」
六花「そうじゃダメなの……」
えっ……。なんで?漫画でもCDでもよく聞く、いいと思える解答だろ?二人はいつまでもいれないから、ともに楽しもうじゃないのか?共感できるだろ?できないのか?なんで!?
勇太「違う?」
六花「ううん、それは正解。だけど大きい」
大きいってなんだよ。間違ってないんだろ。でも俺の死に大きいも小さいもないぞ。死んだらそれで終わり。死ねば体が大きくなるとかそんな童話の国の話はないとさすがに常識ぐらいはついているだろう。でもなんでだ……。この話に、大きんだろ?何が足りないんだ……?


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