39: ◆L3c45GW7tE[saga]
2018/01/05(金) 23:10:15.74 ID:6rZ5mY140
少し立って休んだあと、気分もリターンしたし行くか。
あの場所へ。
六花「ねえ」
六花は腕を震わせてオレンジの柵を指差す。
勇太「うん。そうだよ」
六花「ほんとに?」
勇太「ほんとに」
六花「許可とかは……?」
勇太「ダークフレ……」
怒られそうだよな。
勇太「許可もらいに行ったところで許してくれるわけないだろ」
六花「……。でも!なにかあるかもしれないよ!」
勇太「大丈夫!その辺は偵察済みだ!」
それは確信して言えるほど本当だった。
六花「監視カメラ!」
勇太「ないよ。この森には」
六花「うっ……」
俺だって夜中に森の中をうろつくなんて色々怖いさ。でもそれだけ好奇心も勝る。
勇太「嫌だった……?」
さすがに女の子だから別の場所が良かったかな。いや、でもあの六花がこれぐらいで怖がったか?
六花「ううん。そんなんじゃなくて。何かこう、怖い予感がするの。何か怖い気が。物体じゃなくて」
勇太「大丈夫。考えすぎだろ。監視カメラはないよ。捕まらない」
六花「いや……」
少し考えているようだ。
六花「あ、でも。ありがとね」
例を言うなんて。俺のことなんか無視して楽しんでればいいのに。
勇太「六花らしくないぞ!へへっ!」
ノってくれたらいいな。あ、そうだ。
勇太「邪王心眼に告ぐ!よくぞここまで我慢した!貴様に真実の扉を開ける雄志はあるか!?」
六花「……」
ノるかと思ったら、途端にその気は失せて何の面白みを感じていない真顔になった。
しゃーないな。場所が場所だから。俺もこの先は怖いけど行くしかない。
確か親鳥は小鳥に餌の与え方を教えるんだったな。
このままいても始まらない。六花を無視しよう。
俺は柵を前にして、爽快に登る。怪盗になり家の中によじ登っているドキドキ感がある。
あ!という六花の奇声を背に、オレンジ色の柵は輪だらけになっているので手と靴の裏を引っかければ、少し滑るけどそこは手の輪っかを頼りに、右に登り、ふっ!左登り、あとちょっとだ。右を掴んで、左を掴んで。
どうしようこっから。次で最後だけど股でよじ登ればいいのだが何せ掴むものもない。諦め……せっかくここまで来たのだからやってみよう。死なないように。俺は揺れた衝撃を利用して空中にのし上がると、その重力を利用するように股をクリップのように柵を挟む。頂点に来た。見晴らしは……周りは森だらけだった。
勇太「六花―!来いよ!」
六花「でも……」
勇太「何があっても保証するからさー!おいで!」
六花「何かあるかも……」
勇太「うん!ほらっ!」
六花に遠くだけど手を差し伸ばす。早くしてほしい。股が痛い!!!
六花は意を決すると、ゴス衣装の黒いリボンを揺らして、六花の頭にある黒い髪飾りを揺らして、後ろに回り助走をつけた後ジャンプし、その助走を無意味にした少し上の場所に輪っかを引っかける。そして俺と同じくよじ登る。
勇太「ん!」
手を差し伸ばした俺の長い手に、六花の顔が向けられて、細い腕を出して二人の絆が一つになった。離すもんか!と俺が引っ張ると六花も片手をしっかり震わしながら、六花が宙に浮く。つないだ手はずっと離れなくて、柵の間を六花の股もクリップみたいに挟んだ。俺も痛いので提案する。
勇太「せーのっ!」
六花「せーのっ!」
飛んだ。共に。2,3メートルある柵から落ちたときの衝撃で、足がジーンとなった。あまりの痛さに顔を手で覆う。
痛いっ!痛い!痛い!
その勢いが収まると、六花と顔があって爽快な笑顔を見た。素敵だ。可愛い。
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