16: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 23:07:12.24 ID:FQ763ukmo
──
「どうした?」
プロデューサーさんに声をかけられました。どうやらいつの間にか物思いに耽っていたようです。
「プロデューサーさんと初めて会った時のことを思い出しちゃいました」
そう告げて、覚えてますか? と聞きました。
「ああ、もちろん。というか忘れる方が難しいと思うけど」
「えへへ…それもそうですよねっ」
歩いているプロデューサーさんの手を取ってはにかみます。もう深夜ともいえる時間に外を歩いていたから冷えきった手が私たちの体温でじんわりと暖かくなります。
「それにしても懐かしいなぁ…」
懐かしむように遠くを見つめて呟いたプロデューサーさん。昔の私より今こうして隣にいる私を見てほしいなぁ、なんてその横顔を見ながら思いました。さっきまでは私が昔のことを思っていたのに。
「って、どうしてそのことを?」
「今年も一年間楽しいことがいっぱいあったな、って思っていたらつい……」
「なるほどな。もうすぐで新年だしそういう気分にもなるか」
合点したように頷いたプロデューサーさん。はい、と答えてそっと繋いだ手を握りました。それに応えるように握り返してくれたプロデューサーさんに、
「人が増えてきましたしはぐれちゃいけないから、その……」
と、言い訳を独りごちました。多分聞こえていたでしょうけど、プロデューサーさんはなにも言わないでくれました。
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