9:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:47:37.03 ID:GlK7P5xA0
「……何かお悩みでも?」
「あーいいわ、気にしないで」
心配で堪らず声を掛けてきた彼女にも、苛立ちからぶっきらぼうな返事を返してしまう。
10:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:48:31.91 ID:GlK7P5xA0
「気にするなって言ってんでしょ!!」
だけど今は、その激励にさえ無性に苛立ちが募って。
差し伸べられた手を、私は勢いよく跳ね除けることとなった。
11:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:49:28.07 ID:GlK7P5xA0
「ご、ごめん……なさい……」
続けてその顔に悲しみが湛えられていく。
違うのに、そんな顔させたかった訳じゃないのに。
謝らなきゃ。こっちこそごめん、と。
12:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:51:14.54 ID:GlK7P5xA0
「……」
「さ、サターニャさん……?」
「くだらない」
13:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:52:04.07 ID:GlK7P5xA0
「ち、違……私そんなつもりでは……反省しますから……」
「あんたがどう思ってるかなんてどうでもいいのよ」
「現に私がこう感じたことに変わりはないんだから」
14:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:53:25.10 ID:GlK7P5xA0
……
足取りさえおぼつかない状態ながら、なお余りある強大な力で小規模の結界を展開する。
今から見せる無様な姿を千里眼に捉えられ、悟られることがないように。
15:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:54:47.90 ID:GlK7P5xA0
「くっ……う、ううぅぅ……!」
涙をとめどなく溢れさせ、悲嘆に暮れる。これほど辛い経験なんて久しく味わってはいない。
なにしろ、今まではいつも側で支えてくれる相手が居たのだから。
16:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:56:04.84 ID:GlK7P5xA0
だからと言ってただ逃げたとしても全力で探しにくるだろうし、事情を説明し離れようとしても付いてきてしまうだろう。
喜ばしいはずの好意の深さまでもが枷となっていた。
ならば、その好意を崩してしまえばいい。修復不可能なほどに。
きっぱりと切り捨て、私じゃない相応しいパートナーを見つけてくれればいい。
17:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 16:58:13.44 ID:GlK7P5xA0
……
飴を舐め、平静を保ちつつ教室へと歩を進める。
今は私が一方的に嫌ったという関係にある。私を切り捨ててもらうなら、向こうから嫌われる必要があるわけだ。
18:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:00:01.28 ID:GlK7P5xA0
だめだ、ラフィエル本人は自分に非があると思い込んでしまっている。これじゃ何をしても自分を責めるだけだ。
どうしたものかと考えていると、視界の端に紫色の髪が揺れた。
「おはよ、サターニャ」
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