35:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:22:50.19 ID:GlK7P5xA0
「うっ……くっ……ぐすっ……」
「良かった……! 私が見てきたサターニャさんはっ……!」
偽りの姿ではなかった。
36:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:24:54.45 ID:GlK7P5xA0
これが恐れていた事態だった。
今すぐにでも、なんとかここから突き放す方法を考えなければいけないのに。
「私だって……私だって離れたくなんてない……!」
37:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:26:01.85 ID:GlK7P5xA0
「……はい?」
唐突に間の抜けた声が発される。
「え、堕天って、私がですか?」
38:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:28:38.60 ID:GlK7P5xA0
「……」
言葉が返されることはなく、ただラフィエルの天使の力が解放される。
大きな羽と共に頭上に現れる、光を失った環。
39:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:29:44.54 ID:GlK7P5xA0
「ガヴ」
「がってん」
ヴィネットの呼び掛けに応え、ガヴリールも天使の力を解放する。
40:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:31:37.81 ID:GlK7P5xA0
「……とまあこの通り、こんなのになっても堕天なんてしないわよ」
「こんなのって失礼な」
ガヴリールとヴィネットが続ける。その目には今や憐れみしか宿っていない。
41:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:32:49.51 ID:GlK7P5xA0
「あんた、ラフィと暮らすようになってどれくらい経った?」
「い、いきなり何よ……一年くらい……かしら?」
「だって。どうなのガヴ?」
42:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:33:57.04 ID:GlK7P5xA0
「大体光が消える程度、初期も初期症状だっての」
「あのゼルエル姉さんですら、失敗して落ち込んだりすると光消えるぞ」
「悪魔が天使を堕落させるのは確かみたいだけど、その影響なんてこの程度ってことよ」
43:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:37:04.71 ID:GlK7P5xA0
「サターニャさん」
か細いはずが、全身から血管を伝い、直に脳に叩き込まれたかのような冷たい声に戦慄する。
「な、なんでしょうか……」
44:名無しNIPPER
2018/01/03(水) 17:38:05.97 ID:GlK7P5xA0
「んなっ、何よこれ!?」
するりと抱擁から抜け出したラフィエルが、嵌められた手錠から伸びた鎖を壁に繋ぐ。
「もし、もしですよ」
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