北条加蓮「アタシ努力とか根性とかそーゆーキャラじゃないんだよね」
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46: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/12/31(日) 23:12:50.59 ID:vyCd+JK40
 少し、わかる気がした。
 いつだったろう、アタシは友達がいないとか話していたとき、「杏も同じようなもんだ」と言っていた。
 まだほんの数週間の付き合いだけど、気付いたことがある。杏はすごく頭がいい、ふつうに会話をしていても、随所でそれが見て取れる。
 なんだかんだで、世の中はふつうでないものには生きづらい。子供のような容姿に、高すぎる能力。杏の異質さは、きっと、ただ生きているだけでも大変なものだ。
 杏が事務所に入り浸るのは、アタシと同じ理由だろう。

「それで、レッスンするわけでもなく毎日事務所でダラダラしてるから邪魔だってんで、ちょうど担当していたアイドルが引退して手が空いていた俺が面倒見ることになった。といっても、いっしょに遊んでるだけだけど」

 つまり、昇格した時点で休暇に入ったから、Cランク相当の仕事はしていないということらしい。それなら知名度が追い付いていないのもうなずけるけど……

「でもそれって、今まさに売り出し中ってことでしょ、そんな時期に仕事しないのってもったいないんじゃない?」

「双葉は、少しくらい足踏みしても遅かれ早かれ上に行くよ。約束を反故にして当人の機嫌損ねるほうが痛いって判断だな」

「……もしかしてアタシ、大先輩にすごい失礼なこと言ってたのかな?」

 プロデューサーの言ったことが本当なら、杏はCGプロのなかでも特別大きな期待を寄せられているホープということだ。
 アタシなんかがあんなに気軽に接してよかったのだろうかと、思い返して血の気が引いた。

 それまでじっと黙ってステージを眺めていた乃々ちゃんが、小さく笑った。

「楽しそうでしたよ、最近」



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