北条加蓮「アタシ努力とか根性とかそーゆーキャラじゃないんだよね」
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27: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/12/31(日) 22:43:10.18 ID:vyCd+JK40
 多人数のダンスレッスンは、平日は毎日行われていた。
 次の日、また次の日も、アタシはこのレッスンに参加した。そして、いつも途中でプロデューサーがやってきてストップをかけた。「まだできる」とアタシがいくら言い張っても、半ば強引にレッスン室を追い出された。
 歯痒かった。疲れ果てていたのは確かだけど、アタシはもっとレッスンをしたかった。もっと早く、追いつきたかった。

 ある日、レッスン開始から数十分経過したころ、「おじゃましますけど……」と言って、乃々ちゃんがレッスン室に入ってきた。

「……乃々ちゃん?」

「あっ、加蓮さん。あの、今日はそろそろ終わりで……」

「プロデューサーは?」

「えっと、あの人は、今日は用事があるとかで……頃合いを見計らって加蓮さんを止めてくれと頼まれてて……」

「そう、だけどアタシ、もう少しやるから」

「え……でも、もりくぼは頼まれて……ど、どうしましょう?」

 乃々ちゃんなら無理やり止めることはできないだろう。
 少し心は痛むけど、アタシが言うことを聞かなかったわけだから、後で乃々ちゃんがプロデューサーから責められるようなことはないはずだ。

「森久保さん、せっかく来たのですから、みんなにお手本を見せてはいかがですか?」

 トレーナーさんが言った。

「ええっ!? そんな、もりくぼにお手本なんて、むーりぃー……」

「少しだけですよ。ここにいる皆さんはまだデビュー前ですから。現役アイドルの動きというのも見てみたいでしょうし」

 気付けば、レッスン室にいる全員が乃々ちゃんに注目していた。

「なんか見られてるんですけど!?」

「もういっそ、やってしまったほうが楽ですよ。軽くですから、軽く」

 トレーナーさんは面白がっているように煽り立てる。

「あうあう……じゃ、じゃあ、ちょっとだけ」



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