エンド・オブ・オオアライのようです
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469: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/06/27(水) 23:21:57.80 ID:7h7NQTE30
無線からの報告は、最後まで言い切られることなく途切れる。単に奴らの砲声にかき消されたのか、或いは砲撃によって通信元自体が吹き飛ばされたのか、今となっては解らない。

沖合、港湾部、沿岸、そして学園艦の甲板上。奴らが蠢いている場所で次々と光が瞬き、艤装から放たれた鉄と火薬と殺意の塊が空を切り裂いてこの町に降り注ぐ。地に突き刺さった砲弾が至るところで炸裂し、巨大な火柱が轟音と共に立ち上り天を焦がす。

《────見屋交wW-w──敵弾多s──〜ww……ヒトm───》

《此方名t×××wWww………は困難、至急──w──》

《──WwwWw───は応答を願───》

今までの奴らの攻撃がもしただの準備運動に過ぎなかったのだと言われれば、私はきっとそれを信じるだろう。

既に半壊状態にある大洗の町を完全に地図から消そうとしているかのように凄まじいペースで砲撃が飛来し、逆巻く炎に熱風が吹き荒ぶ。着弾点から吹き出した幾百筋の黒煙が、さながら地面から雲が湧いているかのように空を暗く覆っていく。恐らく拠点・部隊ごとの窮状を伝えているであろう無線は、間断なく──比喩表現ではなく文字通りの意味で──響き続ける爆発音と奴らの咆哮に飲み込まれ、殆どまともに聞こえるものはない。

「シーサイドステーション、崩落箇所更に拡大!屋内の狙撃班並びに医療班との通信が途絶えました!大洗駅他複数箇所からの支援砲火も沈黙!!」

「敵艦砲射撃苛烈!堡塁・陣地の完全沈黙が半数を突破!最早我々の残存火力では太刀打ちできません!」

「若見屋交差点に伝令を飛ばして!羽黒と陽炎はまだ生きてるはずよ、途中で他の隊に合うようならそいつらにもとにかくシーサイドステーションに直行するよう伝えて!

それと残存火砲並びに残存弾薬をここに全て集めなさい!集中運用でなんとしても奴らの動きを遅滞させて───」

ノハ;メ゚听)「一尉、北を……北を!!」

深海棲艦の咆哮や砲声に負けまいと声を枯らして周囲への指示を出す中、大隈二曹の絶望に濡れた叫びが耳に届く。

チラと彼女が指さす方角に視線をやる。

「………」

そこに、“火の海”が広がっていた。


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