468: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/06/27(水) 23:21:07.83 ID:7h7NQTE30
排水量数千トンの軍艦と同等のスペックを持つ化け物30体超の、肺活量を最大限に用いた大音声による大合唱。正面で響き渡るそれの凄まじさたるや、“音で殴りつけられたかのような”とでも表現すればいいだろうか。
『『『『『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!』』』』』
「つぅっ……!」
ノハ;メ )「が、ぁ、ぎっ」
いや、私達の正面だけじゃない。大洗町の至る所で、さながら梅雨時の蛙や真夏の蝉が鳴き出した時のように、戦場が奴らの声で満ちている。まさに津波の如く“音波”が押し寄せて、衝撃に視界が霞み脳幹を直接掴んで揺さぶられたみたいに身体がぐわんぐわんと揺れた。
「……何が、そんなに、嬉しいのよ……アンタらは……!」
咆哮の音量、奴らとの距離、私自身の声のか細さ、そもそもの言語の壁……どれをとっても、私の問いかけが届く要素はない。それでも、ヒトマルの残骸の縁を掴み、89式を杖代わりにし、意地でも卒倒するのを耐えて正面にひしめく敵艦隊を睨み付けながら、私はその問いを口にせずにはいられない。
「そんなに、私らを殺せるのが……嬉しいってのかしら…!?」
私は別に生物学の権威でもなければ、深海棲艦研究の第一人者でもない。モンスターパニックに有りがちな、怪物と心を通わせる少女的な能力も開花していない。……認めたくないけれど、そもそも“少女”と呼んでもらえる年齢でもない。
けれどそれらの声を聞いたとき、私は直感的に理解した。
奴らは、喜んでいる。
自分たちが抱く憎悪の対象を、殺意の矛先にある存在を。
『『『『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!』』』』
《敵艦隊、一斉に艤装を再起動!!》
いよいよ私達人類を本格的に殺せることを、歓喜している。
《艦砲一斉射、来まs》
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