424: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/21(月) 23:20:44.86 ID:9CD0GS6L0
実際中内二曹の動揺と恐慌は、無理もないことではある。特に奴らの強襲上陸艦隊は、規模もさることながら出現の仕方が“降って湧いた”としか言い様がない唐突なものだった。何もなかった場所、それもしっかりとレーダー・電探が警戒していた場所に突然艦隊が湧いて出るなど、常識的に考えてあり得ない。
だが、どれほどそれが“あり得ない”ことであっても、起きてしまった以上はそれが現実だ。ならばそれを受け入れ、対処するより他はない。
ましてや今私達がいる場所は、最前線のそのまた前面なのだから。
《大洗鎮守府よりシーサイドステーション、電探に新たな感あり!敵艦影、貴隊正面に多数出現!》
「シーサイドステーションより鎮守府、もう間もなく接敵するわ!」
度重なる空爆によって施設が焼き払われ更地同然となり、しかし故に開けた視界。前方に広がる湾の水面が、沸騰する熱湯のようにぐらぐらと激しく盛り上がる。
「退避、退避!!」
「うわぁっ!?」
水中から“何か”に突き上げられ、黒焦げでぷかぷかと浮かんでいた漁船の残骸が空に舞う。数十メートルも跳ね上げられたそれは私達の方に飛翔し、間一髪で散開した歩兵小隊の待機地点に轟音と土煙を伴って突き刺さる。
「死傷者報告!」
「欠員なしもM240Bを一挺喪失!」
「人員に損害なしなら戦闘継続!隊形速やかに組め!………来るわよ!!」
『『『────ウォオオオオオオオッ!!!!』』』
《敵艦影、視認!!》
《弾薬装填、ヨシ!!》
「距離300、撃て!!」
あの耳障りな咆哮を響かせて、巨大な水柱と共に海中から現れたいくつもの影。同時に、私は声高に号令する。
『ゴォアアアアアッ!!?』
二門のヒトマル主砲が火を噴く。APFSDSが敵艦隊の先頭に屹立した“艦影”に直撃し、砲火を食らった個体が苦しげに呻いた。二発は何れも肩口に当たったようで、千切れ飛んだ右腕が丸ごと一本10メートルほど向こう側の海面に落下した。
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