375: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/03/25(日) 23:16:31.80 ID:4jDDjcF+0
(敵機は60機近くいるはずだけど……それを、不意打ちに近い部分があったとはいえたった20機強でこうまで圧倒するなんてね)
大東亜戦争の折には私や赤城さんや2航戦の子たちが沈んだ後に採用されたというこの陸軍機が、整備性の悪さから南方戦線で散々悪名を轟かせ米軍からは“鈍重な鴨”扱いされていたとは俄に信じがたい。
本来の実力が当時の皇国の物資不足故発揮できていなかったのか、はたまた【あきつしま】の妖精さんたちの腕前が機体の悪条件を克服しているのか。いずれにせよ、当時を知る日米両国の人間がこの光景を見たらどんな感想を抱くかは少し興味がある。
《【あきつしま】よりCP、護衛部隊が葛城指揮下の偵察隊と合流した》
惚れ惚れするほど圧倒的な制空戦闘を眺めていると、私達の前後を挟み込む形で更に機影が現れた。前後衛に各8機ずつ、新たな“飛燕”の編隊が一糸乱れぬ飛行で偵察部隊の周りを固める。
《なお、当方航空隊は敵追撃部隊と交戦中。既に多数を撃墜し戦況は優勢に推移》
《CPより【あきつしま】、確認した。そのまま各母艦の元へ送り届けさせてくれ》
《【あきつしま】艦橋よりCP、了解》
《葛城より【あきつしま】、護衛を感謝します!》
《此方千代田、96式の残余部隊は大洗鎮守府基地航空隊と合流。これより帰還させます》
《翔鶴よりCP並びに旗艦葛城、零戦部隊は半数を損失しましたが退却に成功。収容致します》
無線から聞こえてくる状況報告の声は、修羅場を越えてようやく落ち着いたものに変わっていた。とはいえ、安堵をしている者は私を含めて誰一人としてこの場にはいない。
寧ろ全員が、声色にどこか暗鬱な感情を込めて言葉を交わしている。
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