360: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/03/18(日) 23:11:23.26 ID:dGcshbyk0
僅か四機。幾らかの撃墜機を出しているとはいえ、私達は編隊規模において敵を圧倒的に上回る。積極的な撃墜はとある事情からできないが、正面切っての戦闘なら容易に振り払えるだろう。
『『────!!』』
《敵影、尚も追撃》
《やっぱ簡単には振り切れないか……!》
だが、私達の任務はあくまでも偵察である以上、あまり本格的に乱戦となって燃料や弾薬を使い切るわけにも行かない。加えて、ヌ級がelite以上の個体である以上艦載機がたかが20機前後で撃ち止めである可能性も皆無。さりとてこの僅かな時間で垣間見える敵機の練度から考えて、中途半端に少数部隊を割いての迎撃など愚の骨頂だ。
結論、この最悪に不利な状況を耐え抜いて任務を果たした後逃げきるしかない。
それも、幾らか収まったとはいえなお十分な密度を誇る対空砲火を躱しながら。
《目標高度まで後2500!!》
《まだそんな位置……加賀さん、彩雲で牽制射撃を!当てる必要はありません、敵機の足並みだけでも乱して!》
「了解」
『『────!!』』
3番機、4番機の速度をあえてやや落とさせ、同時に4番機後部座席の妖精さんに視界を移す。刹那の暗転を挟み、次の瞬間私の眼は妖精さんを通して背後から迫り来る四機のカブトガニをまっ正面から見据えていた。
〈キョリ、400!!〉
「射撃開始。撃墜してはダメよ」
〈オマカセダゼィ!!ダンヤクソウテン、カンリョウ!!〉
よく勘違いされがちなことだけど、彩雲は全くの非武装機というわけではない。敵機に捕捉された際の自衛用として胴や後部座席に機銃を備えた物もあるし、大東亜戦争の末期には夜間戦闘用に斜銃を装備した物や大口径機銃を備えた物、爆装を試みられた機体も存在する。……私はそもそも彩雲実装前に沈んだ為それを直接見たわけでは無いけれど。
ともあれ、今私が指揮する彩雲隊の機体もそうした“量産型”の内の一つだ。
〈ウチカタ、ハジメ!!〉
『────ッ!!』
後部座席に備え付けられた一式旋回機銃が震動と共に火を噴く。殺到してきた7.92mm弾(を模した超小型の機銃弾)に行く手を遮られ、敵影の内一つが忌々しげに回避軌道を取った。
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