359: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/03/18(日) 23:07:12.46 ID:dGcshbyk0
私達の後方に占位した敵機は、動きが戦略的なだけではなく高い練度を誇っていた。迫る飛翔音は規則正しく、本来不向きな急降下運動であるにも関わらず遅れる機体が現れる様子は見られない。
思わぬ動きに私達の編隊が混乱していたこともあり、距離を見る間に詰められる。
『『『──────!!!』』』
《きゃあっ!?》
背後から伸びてくる機銃掃射の火線。ニ警の羽黒が悲鳴を上げ、水偵が下部のフロートと右翼を引き千切られ黒い煙を噴き出しながら落下していく。
《ご、ごめんなさい!やられました!》
《っ!此方千代田、所属の96式が更に一機被弾!損傷大、離脱させます!》
《予定変更!旗艦葛城より翔鶴さん、零戦部隊を全機反転させて敵航空隊の迎撃戦闘に移って!サラトガさん、F6F全機を加速、編隊に先行させて!》
《了解しました!》
《Roger!!》
無論、此方も無抵抗でやられるわけにはいかない。翔鶴が零戦部隊一斉に反転させ、背後の敵編隊を迎え撃つ。
急降下能力に優れるヘルキャットを当初の予定とは逆に更に先行させ、低速域での旋回格闘能力に優れる零戦で足止めを計る───咄嗟の判断としては、きっと最上の部類。
《加賀さん、彩雲隊を加速させてサラトガ隊と離れないように!由良さん、那珂ちゃんも大変かも知れないけど妖精さんに頑張って貰って!》
《了解しました!》
《りょっうかーい!》
「承ったわ」
《此方翔鶴、迎撃戦闘を開始────っ!!》
だが、なにぶん予想外の形で上方を取られた私達の態勢が悪すぎる。翔鶴隊はその悪条件の中でも十二分に機敏な動きは見せたけれど、急造にも程がある防衛線で全機をくい止めろなど無理難題だ。
気配でわかる。数機が此方に抜けてきた。
《翔鶴より先行部隊、四機が突破!!》
『─────!!』
〈ウオッ?!〉
翔鶴からの報告が届くのと、私が意識共有をしている妖精さんが操縦桿を右に倒したのは、ほぼ同時。視界がぐるりと一回転して、僅か1p横を弾丸が風切り音を残して駆け抜ける。
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