エンド・オブ・オオアライのようです
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348: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/03/13(火) 23:05:39.45 ID:H80nMxzq0
……尤も、眼下で学園艦が蹂躙されているという事実は変わらない。理性ではそうだと解っていても、黒煙の隙間から垣間見える火柱や甲板上を我が物顔で闊歩する新型───市ヶ谷によって【ナ級】と名付けられた敵駆逐艦の姿を見ている内に、せっかく下がった血が再び頭部に集まり始めた。

「落ち着きなさい、私。任務は偵察、攻撃ではない。任務は偵察、攻撃ではない」

《………加賀、大丈夫か?》

冷静さを保とうと小声で何度か自分に言い聞かせていると、耳元のインカムで心配そうな声が上がった。途端、怒りに寄るものとは別種の血の気が頬に差し込む。

「………聞こえていたかしら、提督」

《そりゃお前自衛隊の通信機器だぞ、感度抜群に決まってる。どんなに小声でもこのマイクなら拾えるさ》

「……………それは何よりね」

嗚呼、何という不覚。よりによって提督に聞かれるなんて。穴があったら入りたいとはまさにこんな気持ちに違いない。

《気にするなよ、誰だって緊張もするしこの現状には怒りを覚えている。加賀の反応は自然なことで、俺も全く同じ気持ちだ》

「そう言って貰えて救われるわ。……心の底から」

最後に付け加えた言葉は、半分嘘。気持ちを汲んで貰えたことは嬉しい反面、他人に気を遣われてしまった事への気恥ずかしさも増す。

相手が提督なら、尚更。

「でも、できれば今の私の言動は速やかに忘れて頂戴。やはり、一航戦としてあまりに恥ずべき内容だから」

《あー………いや、俺は構わないんだが………》

どうにも歯切れの悪い返事を訝しく思い眉を顰める。………だが、その理由はすぐに判明した。

《ぉK、安心しろ加賀さん。提督の直ぐ後ろにいた俺たちは何も聞いていないし、七警最強の一航戦殿が珍しく照れている様なんかこれっぽっちも知りはしない》

《この口の堅さ、流石だよな俺ら》


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