エンド・オブ・オオアライのようです
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347: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/03/13(火) 23:04:45.06 ID:H80nMxzq0








大洗港に身を横たえる、全長7600mの艦影。改めてその全容を目の当たりにすると、あまりの大きさにため息が漏れそうになる。

ほんの一キロ程しか離れていない距離に空爆や艦砲射撃を受ける危険を冒して停泊するのは、海上保安庁の巡視艇【あきつしま】。哨戒ヘリ二機を搭載できる此方の艦も決して小さくは無いけれど、【大洗女子学園】と比べればまるで箸の横に並べた米粒だ。

軍艦だった頃の“私”が30隻並んでも届かない規格外の巨船。二万人に迫る学生達が過ごす広大な学び舎の艦。

それが今、私の────正確には私に視界を共有してくれている【彩雲】の妖精さんの眼下で黒い煙を幾筋も立ち上らせている。

あの中で、日ノ本の明日を担う若人が何人命を散らしたのか。その事に思いを巡らせると、胸の奥から自然と怒りや悔しさが滲み出てくる。

「…………頭にきました」

思わず漏れた呟き。気づくと、私の手は無意識の内に矢筒に伸びて99式艦爆の矢を取り出そうとしていた。

いけない。

上昇した体温を下げるため、一度大きく息をつく。

私の悪い癖。いつも提督や鈴谷達を窘めているくせに、誰よりも自分が激情に駆られやすい性質をしている。少しでも気を抜けばすぐ頭に血が上って周りが見えなくなってしまう。

私は、誇り高き大日本帝国の一航戦。私情と任務を切り離せ。

あの船には今なお、多くの民間人・生徒が取り残されている可能性が高い。今そこへ爆弾を落とすという行為は、深海棲艦の撃沈に人々も巻き込む危険性と隣り合わせだ。


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