33: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/01/06(土) 00:25:38.82 ID:Gd5bPsEi0
ローカルバスほどもある大きな車体に赤い回転灯を光らせた装甲車が、合計6台正門をくぐって停車する。
学園の外に側面を向けてさながらバリケードのような陣形を組んだそれらから降りてきたのは、紺色の制服に身を包んだ70人前後の集団。全員が防弾仕様のヘルメットを被り、サブマシンガン───H&K MP5を構えている。
「………マジかよ」
彼らが展開を完了すると、様子を見ていた同僚の教員の一人が目を丸くした。
「艦橋保安室の直属部隊動かすって、相当ヤバいじゃねーか……」
各学園艦で編成されている保安隊は、大まかに2種類の保安官で構成されている。
一つは、陸でいうところの交番に相当する“駐在所”に赴任した保安官。これは働き場が学園艦の上というだけで内容も交番勤務とほぼ変わらず、装備もニューナンブM60と警棒という一般的なものだ。
もう一つが、司令部に当たる“艦橋保安室”直下の保安官部隊。此方は主に学園艦上でテロや重大犯罪が発生した場合の備えという立ち位置のため、国際条約で許されるギリギリのラインで────具体的にいえば、銃器対策部隊とほぼ同様の装備が支給される。
無論、このため直属部隊の運用には非常に多くの制限があるのだが、これほどの緊急事態となれば動くのは当然といえば当然だ。寧ろ、指揮系統も混乱しているであろうこの状況下でこれだけ素早く展開に踏み切れた艦橋保安室の判断はかなり迅速な方だと思う。
『ォオオアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
………ただし、今回の場合あまりにも相手が悪い。
『キィアアアアアアアアアアッ!!!!』
声高に吠える2体の“生ける軍艦”の20m近い巨体に、たかが70挺のH&K MP5の火線が通用するとはとても思えない。
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