エンド・オブ・オオアライのようです
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326: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/03/03(土) 22:37:15.90 ID:sUJQuCNI0
時間が、まるで溶かした鉛のように重くゆっくりと流れる。その場にいる誰もが、隔壁を見つめたまま微動だにしない。

時間にして、恐らく数秒。だがその数秒が、僕には何百倍も長く感じられた。

『ギィッ……キィイィッ……』

『アァアアアア………』

隔壁を殴打する音が時が経つにつれて少しずつ弱まり、それに伴い奴等の鳴き声も勢いを失っていく。変わって壁の向こうで響き始めた足音は、明らかにこの場から、隔壁から遠ざかるものだった。

更に十秒ほど息詰まる時間が続いた後、場には耳が痛くなるような静寂が降りた。

「────敵群体の後退を確認!!」

(;●▲●)「ブハッ!!」

( ・∀・)「………フゥ」

隔壁のすぐ傍に据えられた端末機を睨んでいた保安官が叫び、その言葉にようやく空気が弛緩する。根賀さんは激しく息を吐いて座り込み、日屋根さんは肩の力を抜いて額の汗を拭き、他の人々も思い思いの方法で安堵の感情を露わにしている。

「………っはぁ〜」

「ぶへぇ………」

ムラカミさんとラムさんも、盛大に空気を吐き出しながら脱力して同時に尻餅をついた。………再び投げ出された僕は今度は後頭部をしたたか打ち付ける羽目になったけれど。

「ムラカミ、ムラカミ、おにーさんがメッチャ唸ってるよ」

「………あ、スマン」

(メメ; ω )「おおおおお………い、いや、おかまいなくだお………」

新たな痛みで悶絶しながらも、何とか言葉を絞り出す。

実際、多少体格がいいとはいえ一介の女子高生が成人男性を負ぶって走るのは相当な体力を消費するはずだ。疲労困憊は当然のことで、気絶した状態で運んできて貰った僕がこの程度で文句を言う権利はない。寧ろ、心底からの感謝を伝えなければ僕の気が済まない。

まぁ今言うと、間違いなく要らない誤解を招くことになるけれど。


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