31: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/29(金) 13:41:53.81 ID:owrWAVvd0
「ありがとうございます、乃々ちゃん」
「でもぜんぜん期待しないでください。もりくぼなんて……音痴で運痴でだめだめで……。まゆさんみたいになんでもできるわけじゃありませんから……」
なんでもできる? 私が?
あまりに的外れなその言葉に首をかしげていると、乃々ちゃんは続けて言った。
「そもそもまゆさんは自分から事務所に乗り込んでまでアイドルになったのに……もりくぼはいまもなにも目的もないままですし……いつもみなさんに、ご迷惑ばかりおかけしていて……」
ああ、やっぱり。心のなかで相槌をうつ。
乃々ちゃんの一番弱いところは体力不足じゃなくてこの自信のなさ。
体力はいまからがんばればどうとでもなるけど、性格はそう簡単に変えられない。
これさえなくなれば、この子はきっとすごいアイドルになれるはずなのに。
「……乃々ちゃんはモデルの代わりをしていたところをスカウトされたんでしたよね?」
「はい……断ろうとなんどもしたんですけど、結局断り切れなくて……」
「アイドル、やめたいですか?」
びくりと乃々ちゃんの体が跳ねた。
なんだろう。なんだかとっても悔しくなってきた。
「もちろん乃々ちゃんがやめたいって言うならまゆは止めません。まゆがちひろさんに話をつけます。だからアイドルを続けるかどうか、乃々ちゃんが決めていいんですよ」
「…………」
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