13: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/28(木) 19:45:20.62 ID:yFDg0/wv0
「二か月後に事務所の定例ライブがあるじゃないですか。実はプロデューサーさん、その場を利用して売り込むために乃々ちゃんをライブに出演させようとしてたみたいなんです」
「……歌やダンスの経験は」
「まったく、です。急にこれなくなったモデルの代理をやっているところを見つけてきたらしくって。アイドルのアの字も知らないみたいです」
「それで二か月はちょっと……」
「難しいでしょうね。ごめんなさい乃々ちゃん。今回のライブは見送りになると思います」
「ですから……もりくぼはライブなんて無理なんですけど……」
プロデューサーさんがいなくなって、この事務所はみんながいっぱいいっぱい。
これ以上他のことをやる余力なんてみじんも残っていない。
だから乃々ちゃんのステージは諦めるしかない。
いまじゃなくても機会はいくらだってある。
ちひろさんの言っていることはもっともなのだと思う。
ふいにプロデューサーさんの顔がちらついた。
あの人のことは私がいちばんよく知っている。
飄々としているようでとっても真面目な人。
この子のデビューが遅れてしまったことを知ったら、きっと自分のせいだと責めてしまう。
プロデューサーさんが悲しんでしまう。
……それだけは嫌。
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