12: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/28(木) 19:42:55.48 ID:yFDg0/wv0
「ちひろさん……その子は?」
いつも通りプロデューサーさんのお見舞いに行ったあと事務所に着くと、ちひろさんの隣にちょこんと腰かけた女の子の姿があった。
森に住み着いている妖精のような雰囲気をまとっている、どこか童話の世界に出てきそうな少女。見たことのない、少なくともこの事務所のアイドルではないのは間違いないはず。
私に気づいたらしく、不安げに揺れる瞳と目が合った。
「ううう……」
その子は目を逸らしたかと思えば、近くにある机の下に潜りこんでしまった。
「森久保乃々ちゃん。今度からうちのプロダクションに入ることになっていた新人アイドルです」
「なっていた?」
首を傾げると、ちひろさんは困ったような顔で机の下を覗きながら続ける。
「まゆちゃんのプロデューサーさんがスカウトしていたんですけど」
「プロデューサーさんが……」
「はい。ですけどいまはプロデューサーさんがあんなことになって。本当は今日からアイドルとしてレッスンをはじめることになっていたんですけど」
「も、もりくぼは別にアイドルになりたいなんて言っていないんですけど」
いまの言葉に今日二度目の首傾げ。アイドルになりたいわけでもないのに、どうしてスカウトに応じたんでしょう?
106Res/83.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20