10: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2017/12/28(木) 19:31:52.59 ID:yFDg0/wv0
「……いろいろお疲れでしたもんね。ゆっくりお休みになってください」
脳に異常はないそうです。だからすぐに目を覚ましますよ。
慰めるようにちひろさんはそう言ってくれたけれど。
このまま目を覚まさないんじゃないか。もうあの笑顔を見れないんじゃないか。なんて嫌なことばかり考えてしまう。
そんなのいや。絶対にいやです。
左手首につけた赤いリボンを握りしめる。
あなたがくれたこのリボンに誓ったの。
運命の赤い糸で結ばれますように。これから先もずっとあなたの側にいられますようにって。
ねぇ、プロデューサーさん。お仕事はまゆがなんでもやります。あなたはなにもしなくていいです。
あなたのためならどんなにつらいことでもがんばりますから。
だから早く目を覚まして。がんばったら頭を撫でていっぱいほめて。いつものように楽しそうな笑顔を見せて。
「まゆ」ってあの優しい声で、また私の名前を呼んでください。
時計を見ると五時をまわろうとしている。もうすぐレッスンの時間。遅れるとトレーナーさんに怒られてしまう。
「今日はこれで失礼します。また明日も来ますね」
ぎゅっとプロデューサーさんの手を握ってから、病室を後にした。
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