【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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◆17z5a1JMEs
[saga]
2017/12/24(日) 03:33:48.83 ID:tCiOWLnR0
静香「ごめんなさい。落ち込んで泣いている百合子に何か声を掛けようと思ったんだけど……実は、気の利いた言葉が思いつかなかったの」
ごめんなさい。と静香ちゃんが頭を下げる
静香「でも、百合子を励ますには至らなかったかもしれないけど、私、時間内にここまでうまくやったと思わない?」
静香ちゃんはそういって悲しそうな顔で時計を指さす
そうだ、静香ちゃんには次の収録があるんだった。
ただその表情はあの時の杏奈ちゃんのような積乱雲を想起させる。
でも、なんで?なんで静香ちゃんはそんなに悲しそうな顔をするんだろう。静香ちゃんのおかげで、私は真実にたどり着いた。それは明らかだ。だけど今の言葉を言った時の静香ちゃんは私の問題とは別の何かを結びつけて語っているように感じた。
百合子「うん。静香ちゃんには感謝してもしきれないくらい、助けて貰ったよ」
静香「本当に?本当に私の行動に意味はあったと百合子は考えるのね。私、その言葉を信じるけど、いいのよね?」
震える声で静香ちゃんは私に尋ねる。
ああ……なにをしているんだ私は。静香ちゃんだって何か耐え難い物を抱えていたんだ。
だけど、そんな自分を顧みず、私のことを助けてくれた。なのに私はいつまでうじうじしているんだ。いつまで静香ちゃんを不安にさせるんだ。頑張れ!前を向け!そして答えろ!
百合子「大丈夫。私のことを信じて大丈夫だよ、静香ちゃん。」
私は静香ちゃんの目をまっすぐに見据えて答える。
静香「百合子……」
静香ちゃんの震えが止まる。
静香「あのね、百合子を励ませなかったのは、心残りだけど。それはきっと、杏奈じゃないとダメなんだと思う」
百合子「杏奈ちゃんが?」
静香「ええ。百合子の悲しみは、この先のゴールにいる杏奈と仲直りすることでしか消えないと思う。だから続きは2人に任せることにする。」
そうだ。まだ終わっていない。まだただチェックポイントを通過したに過ぎない。悲しいは悲しいままだけど、落ち込んでなどいられない。
静香「杏奈はきっと百合子を待ってる。それに杏奈に気の利いた言葉を掛けてあげられるのもきっとあなただけよ。私にできるのはここまでだけど、あなたは違うわ。バトンは繋いだ。だからゴールまで迷わず全力で進みなさい。」
私は涙を袖で拭い立ち上がる。静香ちゃんの言葉で、私の胸の洪水はすべて推進力に変わった。
静香ちゃんはやっぱりすごいなあ。たぶん神様が奇跡を起こすとすれば彼女のような人の上に降り注ぐのだろう。
でも私も負けてはいられない。必ず杏奈ちゃんに会って、そして仲直りをするんだ。
私は携帯を耳に当てながら駆け出していた。
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