【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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55: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:24:54.90 ID:tCiOWLnR0

……

タクシーに乗り10分ほどで現場に到着した。今回の収録は私の大の苦手なスポーツバラエティだ。スタジオには既にアトラクションやバスケットのコートのような丸だったり台形であったりと訳の分からない幾何学模様がテープで描かれている。実はこのようなスポーツバラエティ番組は結構ある。今週に入っても既に4本の収録を終えた。ローカルやケーブル、インターネット放送などの小さな番組で、どれも似たり寄ったりの物だ。

このみ「あら、来たわね2人とも!これで全員揃ったわね」

吸水性の高い運動服にブルマといった出で立ちのこのみさんが、私たちを迎える。

このみ「ところでどう?今日のお姉さん、セクシーフェロモンむんむんじゃない?」

周りを見渡してみると、歩さんや海美さん、エレナさんそれに――

志保「いい、可奈。今日は特訓の成果を見せるときよ」

可奈「うん。志保ちゃん。継続は力なりだよね」

結束を深めあっている志保ちゃんと可奈ちゃんの姿があった。
このスポーツバラエティはチーム対抗で執り行われる。
ちなみに私のチームは、私を含め杏奈ちゃん、海美さんこのみさんの4人編成だ。

「15分後にリハーサルを始めます。準備をお願いします」

スタッフさんから声がかかる。
スポーツバラエティは本来私の領分ではない。だけど私はまだトップアイドルを目指す途上にいて得意とか不得意とかで、仕事を選んではいられない。
大丈夫だ、大丈夫だと心の中で自分を鼓舞する。それに今回チーム戦で、私のチームには私と同じく決してスポーツが得意とは言えない杏奈ちゃんがいる。たぶん不安を抱えているはずだ。自分だけ緊張してはいられない。
私は頑張ろうねと声掛けを行おうと決意する

百合子「あ、あの、杏奈ちゃん!」

杏奈「ど、どうしたの百合子さん?」

いけない。声が上ずってしまった。思っていた以上に私は緊張をしていたらしい

百合子「がん……頑張ろうね、杏奈ちゃん」


杏奈ちゃんは考え込むようにして、そして短く「うん」と返事をした。
なんとか最後まで言い切ることができたが、杏奈ちゃんの不安を取り除くどころか私の不安が急激に上昇した。




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