【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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45: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:19:32.69 ID:tCiOWLnR0

静香「……より多くの死者が出ている基金に寄付するわ。命は数じゃないと思うけど、寄付くらいしかできないのなら、数の多寡で選ぶべきだと思う」

静香父「私もそう思う。だが現実の統計では911テロやハリケーン等の災害被害に金が集まり、マラリアやエイズといったその何倍もの死者が出ている病気にはあまり金が集まっていないのが現状だ。これは国民感情の問題で、短期的な衝撃の大きさが結果に起因していると言われている。そしてその衝撃を伝えるのはメディアだ。ではアイドルの世界でメディアが取り上げるものはなんだ?彼らが選ぶのは必ずしも実力のあるものではない。多くの場合選ばれるのは奇抜なものだ」

造詣が著しく美しい者や強烈な個性を持っている者ばかりが選ばれている。それは確かなのかもしれない。

静香父「努力が報われるとは限らないのはどこの世界も同じだが、アイドルの世界はその傾向が顕著だ。静香、親としてはお前にわざわざそんな世界を勧めるわけにはいかない。そんな世界に居ては、いずれ努力の価値を見損なうようになる」

 さらに父は続ける

静香父「静香、お前の目指すものにお前がなるのは奇跡のようなものだ、そして奇跡とはどこかの自分とは違う誰かにしか起きないんだ。一番報われるべき人間のところには奇跡は起きないようになっているんだよ。」

静香父「……そしてそんな場所で戦うお前に、お父さんは何もしてやれない」

自らの無力感に対する苛立ちや悲しみを吐き出すように、世の心理を父は口に出す。

私は父が言った言葉を噛みしめてみる。どの言葉も間違いではない。
厳しいレッスンをどれだけこなして、どれだけ実力をつければ活躍できるといったスポーツの世界の指標はここにはない。
トップアイドルになるための明確な指標などないまま不安を押し殺してレッスンを重ねるのがアイドルの世界だ。それは生易しい世界ではなく、親が子供に勧めるものではないのだろう。けど――



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