【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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40: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:16:55.59 ID:tCiOWLnR0

静香父『おお、静香!上手いじゃないか!』

どこがだ、と私は思った。無様な演奏だったし、意気揚々と勝負を受けたと思えばあんな演奏をお父さんに聞かせたことが恥ずかしくて仕方なかった。

静香父『それじゃあ次はお父さんの番だな』

楽譜を最初のページに戻し鍵盤に指をのせる。
先ほどまでの緩み切った表情は姿を消し、視線は鍵盤上の手に注がれ、何かをシミュレートするようにぶつぶつと呟く。

私はこんな真剣なお父さんを見るのは生まれてはじめてだった。

静香父『ではいくぞ!』

お父さんの演奏が始まる。
アイネ・クライネ・ナハトムジークの1小節目が私の耳朶を打った時、私はテレビで見たカウントダウンの終了と共に勢いよく宇宙へ飛び立つロケットの発射に立ち会うような高揚感を覚えた。勝負を忘れて、「いけいけいけ!」と心の中で声援を送っていた。

しかし2小節目を聞いた時、あれ?このロケットちょっとカーブ軌道を描いてない?と違和感を感じ、3小節目を聞いた時には緊急事態発生の警告ブザーが鳴り響いていた。
つまり一小節目以外楽譜通りに弾けていないのだ。

静香『ストップ!ストップ!ちょっとお父さん。全然弾けてないじゃない!』

静香父『あれ〜おっかしいな。静香の弾き方を真似したつもりなんだが。』

静香『真似したって、もしかしてお父さん……楽譜読めないの?』

静香父『いや、読めるよ。ただ日本語版が読めないだけだ。英語版だったら余裕だったんだけどな』

静香『何言ってるの、楽譜に日本語版も英語版もあるわけないでしょ』

私が指摘をすると「ばれたか。静香は物知り博士だな」といって私の頭を撫でようとする。

静香『もう、お父さんは負けたんだから撫でるの禁止!』

子供扱いされていると思った私はお父さんの手を払いのけて禁止令を宣言する。

静香父『ちょっと待て静香。まだ一対一の引き分けじゃないか。スコアの上では対等だぞ。あ、今のは点数と楽譜をかけた高度なギャグなんだが、静香にはまだ早かったかな?』

静香『また子供扱いして!そんなの知ってるもん。親父ギャグでしょ。そんなの言うなんてお父さん親父くさいよ』

静香父『親父ギャグいいじゃないか。だってお父さんは静香の親父なんだから。』

それより、とお父さんは続ける。




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