【ミリマス群像劇】最上静香「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
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41: ◆17z5a1JMEs[saga]
2017/12/24(日) 03:17:27.85 ID:tCiOWLnR0

静香父『静香、勝負は一対一のままだがピアノ勝負続けるか?』

どうしよう。と私は思った。引き分けのままなのは収まりが悪いけど、ピアノが弾けないお父さんを倒しても弱いものをいたぶっているみたいでいい気分はしない。

静香『……』

静香父『静香は対等な勝負がしたいんだよな。でもお父さんじゃ相手にならない。違うか?』

静香『うん』

そのとおりだと私は間髪入れず答える。

静香父『そこでだ、静香がお父さんにピアノの弾き方を教えるというのはどうだろう。お父さんが上手になれば対等な勝負ができるし、勝敗も白黒決着がつく』

なるほど、確かに私が教えてお父さんが上手くなればいい勝負ができるかもしれない。
でも……

静香『でも、私、人に教えれるほどピアノ全然上手じゃないよ?』

先ほどの無様な演奏を思い出す。お父さんのではない。私の無様な演奏を。だがお父さんは「そんなことはない」、と私と正反対のことを言う。「本当にそう思う」という言葉を付け加えて、しみじみとした口調でだ。
お父さんが嘘をついているようには思えなくて、私は「どうしてそう思うの?」と聞いてみる事にした。するとお父さんは再び私の頭に手を伸ばして

静香父『そうだな。たぶん、親バカだからかな』

と私の演奏のことを無理やり褒めるでもなく、こればっかりは仕方ないよなと苦笑しながら撫で回した。
「もう、お父さんは甘いんだから」という言葉が私の口からついて出る。だが同時に心の中で「でも本当は。私のピアノはこんなもんじゃないんだよ」という言葉が湧きあがった。

それからというもの私はお父さんへのピアノのレッスンを始めると同時に、自身のピアノのレッスンを再開することにした。
私のレッスンのせいあってか、お父さんのピアノのほうは正直に言うとあまり上手にはならなかった。しかしレッスンが終わると途端に「静香、お父さんとピアノで勝負だ!」と自分の腕前は棚に上げて果敢に勝負を挑んできた。対等な勝負がどうとかいう話はどこにいったのだろうか。



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